月一コラム第十七弾!令和3年4月号

 2021年1月18日(月)からスタートした第204回通常国会も半分以上が経過し、6月16日(水)の会期末まで残すところわずかとなってきました。
 新型コロナウイルスの勢いは衰えを知らず、今年のゴールデンウィークも昨年同様、自宅または自宅周辺で過ごすことになる方々が多いのではないでしょうか。

 新型コロナワクチンが、人類にとっては大きな武器になると言われていますが、残念ながら日本国内では接種のスピードがなかなか上がりません。その大きな原因は、ワクチン製剤そのものが海外から日本に届かないことですが、私は接種のルールにも問題があると思っています。
 まず、そもそもワクチン接種を「完全予約制」にする必要はあるのでしょうか。接種会場や医療機関がその日の接種人数を確定するための「予約制」を導入しても良いかと思いますが、すべての接種会場で「完全予約制」を導入する必要はないと思います。予約をしても急用ができた方や体調の悪い方がワクチンを受けに来ない場合もありますので、「完全予約制」は接種スピードを落とす大きな原因になります。特に大規模の接種会場では、その日の余ったワクチンを「通りすがりの人」が打ってもらえる「キャンセル待ち接種」を積極的に行えば良いと思います。ちなみに、『季節性インフルエンザワクチン』は毎年10月上旬から12月中旬の約2か月間で、約6000万人の日本国民に接種されますが、「完全予約制」にしなくても、混乱なく接種を終了することができています。
 次に、今回の新型コロナワクチン接種は、市町村単位の事業となっていますが、市町村をまたいでも多少のことには目をつぶる「懐の深さ」も必要だと思います。
 例えば病院や診療所が、市町村の異なる老人ホームに訪問診療に出向くことはよくあることです。大阪府内でいえば、大阪市のクリニックが豊中市の老人ホームに訪問診療に行くような場合です。しかし現時点では、大阪市のクリニックがワクチン製剤を調達して、訪問診療先の豊中市の老人ホームの高齢者にワクチン接種することは許されていません。市町村はまたげないのです。すると結局、同じ豊中市内の見ず知らずの医師が協力してくれるまでは、老人ホームの高齢者はワクチン接種を受けられないことになります。毎年の『季節性インフルエンザワクチン』ではこのような制限はありません。
 以上はほんの一部の例に過ぎないのですが、国が一生懸命、真面目に取り組もうとして、公平性や確実性を重視するあまり、ワクチン接種スピードが上がらない典型的な例と言えます。「多少の抜け穴には目をつぶって、7割ほどの国民になるべく早くワクチン接種を終える」という目標にしておくことが現実的ですし、そうすることで結果的にはワクチン接種を早く終えられると思います。この記事を書いているのは2021年4月下旬ですが、あと1か月後くらいには様々なルールがもっと緩やかになっているような気がします。

梅村 聡