月一コラム第四弾!令和2年3月号

 3月3日(火)、NHK中継が入る中、参議院予算委員会で、安倍総理大臣、加藤厚生労働大臣に質問を行いました。実際の映像は、このホームページの中にある動画を御覧いただければと思います。コロナウイルス感染症対策の関連で、質問のテーマのひとつとして、「オンライン診療」をとりあげました。

 「オンライン診療」とは患者さんが病院やクリニックに直接足を運ばなくても、スマートフォンやその他の通信機器の画面を通じて、自宅にいながら医師や看護師とやりとりをして診察を受けることを指します。別名「遠隔診療」とも呼ばれます。
 新型コロナウイルス感染症が流行の兆しを見せる中、定期的に通院している慢性疾患をもつ患者さんにとって、病院やクリニックでのコロナウイルス感染を防ぐためにも、「オンライン診療」はとても役に立ちます。ところが、様々な規制があって、なかなか患者さんはこの「オンライン診療」を受けることができません。
※オンライン診療:予約、問診、診察、処方、決済までインターネット上で行う診察・治療方法

この「オンライン診療」を保険診療として受ける際には、様々な制約があり、その制約のひとつに「病名しばり」というものがあります。正確には「病院やクリニックは、特定の管理料を算定していなければ、診療報酬上、オンライン診療料を算定できない」という国民には分かりにくい制度なのですが、要するに「国が指定した病気」でなければ「オンライン診療を受けることができない」ということです。

 具体的には、「糖尿病・慢性胃炎・ぜんそく・てんかん・甲状腺機能低下症」の方はオンライン診療を受けることが可能ですが、「痛風・便秘症・花粉症・片頭痛・関節リウマチ」の方はオンライン診療を受けることは不可能です。
 加藤厚生労働大臣は「安全性を考慮してこのようなルールにしている」と答弁しましたが、
どう考えても「ぜんそく」の方が「花粉症」よりオンライン診療を行う上では、「安全性が低い」と考えます。
「ぜんそく」で命を落とす患者さんはおられますが、「花粉症」で命を落とす患者さんはほぼゼロだと思われるからです。
ですから病名でオンライン診療を受けられるかどうかをしばることは、患者さんの立場から言えば適切ではないのです。私は患者さんとかかりつけ医が合意すれば、病名にしばられることなくオンライン診療を可能にすべきと考えます。

 なぜこのようなよく分からないしくみになっているのか?様々な関係者の利害を調整しながら制度設計をすると、このようないびつな制度が完成してしまいます。患者さんや国民の皆さんの立場で考えれば、実際に運用すればおかしなことになるとすぐに気づくはずです。
 私はこれからも、患者さんや国民の皆さんの目線からみた「適切な改革」に取り組んでいきたいと思います。

  梅村 聡
2020年3月11日